社内ネットワークのセキュリティ対策とパスワード管理の基本

社内ネットワークのセキュリティを確保するためには、組織全体での徹底したパスワード管理が不可欠です。本記事では、パスワード管理の重要性や企業で統一すべきポリシー、アカウントに応じた適切な管理手法について詳しく解説します。

社内ネットワークのセキュリティにパスワード管理が欠かせない理由

社内ネットワークは、企業が保有する機密情報や顧客データが集約されている重要な基盤です。ひとたびアカウント情報が不正アクセスやフィッシング詐欺によって破られると、ネットワーク全体への侵入を許し、大規模な情報漏えいにつながる危険性があります。企業アカウントの保護は、個人のセキュリティ意識だけに頼るのではなく、組織全体のリスク管理として取り組む必要があります。

企業で統一したいパスワード管理ポリシーの基本

組織全体のセキュリティ水準を均一にするためには、明確なパスワードポリシーの策定が欠かせません。文字数や複雑さの基準を設けるとともに、推測されやすい初期パスワードの排除や、パスワードの使い回しを禁止するルールを徹底します。また、安全なランダムパスワードを生成する仕組みを取り入れることで、人的な脆弱性を最小限に抑えることが可能です。

パスワード生成における文字数の基準(8桁・12桁・それ以上)

パスワードの強度は、複雑さだけでなく文字数に大きく左右されます。かつて主流とされたパスワード生成 8桁の文字列は、近年のコンピューターによる総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)や辞書攻撃に対して非常に脆弱であることが分かっています。最低でもパスワード生成 12桁以上の長さを確保するか、NIST(米国国立標準技術研究所)が推奨するように15文字以上のパスワード(パスフレーズ)を採用することが、実用的なセキュリティ対策において極めて効果的です。

無料の生成ツールやブラウザ機能の活用

安全な長さを手動で考案し記憶するのは困難なため、企業ではツールを活用した運用が推奨されます。例えば、パスワード生成 googleなどの標準機能や信頼性の高いパスワード生成 無料ツールを利用すれば、大文字・小文字・数字・記号をランダムに組み合わせた強固な文字列を即座に作成できます。管理ツールと組み合わせることで、従業員が覚えやすい単調な文字列を設定してしまうリスクを根本から防ぐことができます。

社内アカウントの種類に合わせた管理方法

社内で利用されるアカウントは一様ではなく、一般従業員アカウントと特権アカウントではリスクの大きさが異なります。システム管理者が使用する管理者アカウントや特権アカウントに対しては、厳格なアクセス制御や最小権限の原則を適用し、不要な権限付与を防ぐことが重要です。アカウントの種類に応じたきめ細やかな管理が、不正アクセスの拡大を防ぐカギとなります。

パスワード生成ツールと管理ツールを社内で活用する方法

従業員が複雑なパスワードを手動で作成・記憶するのは困難です。そのため、組織全体でパスワード生成ツールやパスワードマネージャーを活用し、安全な認証情報を一元管理する体制を整えることが効果的です。これにより、業務効率を落とすことなく、強固なセキュリティ環境を維持しやすくなります。

入社・異動・退職時に実施するアカウント管理

社内ネットワークのセキュリティを維持するには、パスワードの強度だけでなく、従業員の在籍状況や担当業務に合わせたアカウント管理が必要です。入社、異動、退職の各タイミングで確認する項目を決め、IT管理者が一貫して運用できる仕組みを整えましょう。

入社時は個別アカウントを発行する

新入社員には、業務に必要なシステムやネットワークへのアクセス権限を確認したうえで、個人ごとのアカウントを発行します。

初期パスワードを設定する場合は、推測されにくいランダムな文字列を使用し、本人が安全な方法で受け取れるようにします。初回ログイン時に変更を求める運用も有効です。

入社時に確認したい項目は次のとおりです。

  • 本人専用のユーザーIDを発行する
  • 担当業務に必要なアクセス権限だけを付与する
  • 初期パスワードを安全な方法で通知する
  • 多要素認証の設定を案内する
  • 不要なシステムへのアクセスが許可されていないか確認する

初期パスワードを複数の従業員で共有したり、メールやチャットにそのまま残したりすることは避けてください。

異動時はアクセス権限を棚卸しする

部署異動や担当業務の変更があった場合、以前の業務で付与されたアクセス権限が残っていないか確認します。

例えば、経理部門から営業部門へ異動した従業員に、経理システムの管理権限が残っていると、必要以上の情報にアクセスできる状態が続く可能性があります。

異動時には、次の手順で見直します。

  1. 新しい担当業務で必要なシステムを確認する
  2. 以前の担当業務に関するアクセス権限を確認する
  3. 不要になった権限を削除または変更する
  4. 必要なアカウントや認証設定を更新する
  5. 変更内容を管理記録に残す

アカウントを残したまま権限だけを変更する場合も、変更後のアクセス範囲が適切か確認することが重要です。

退職時はアカウント停止を速やかに行う

従業員が退職するときは、社内ネットワークや業務システムへのアクセスを継続できないようにする必要があります。

IT管理者は、退職日や最終勤務日を人事部門と共有し、対象アカウントを確認して停止します。メール、クラウドサービス、VPN、社内システムなど、利用していたサービスを個別に確認してください。

退職時の確認項目は以下のとおりです。

  • 本人のユーザーアカウントを停止する
  • VPNやリモートアクセスの認証情報を無効化する
  • 共有アカウントのパスワードを必要に応じて変更する
  • 管理者権限や特別なアクセス権限を解除する
  • 貸与端末や認証用デバイスを回収する
  • 必要な業務データの引き継ぎを確認する

特に注意したいのが、退職者アカウントの停止漏れです。アカウントを使わなくなっただけでは、アクセスできる状態が解消されたとは限りません。

入社・異動・退職の情報を人事部門とIT管理者が共有し、アカウント発行、権限変更、停止までの担当者と実施タイミングを明確にしておきましょう。

社内で起こりやすいパスワード管理の失敗と改善策

企業のパスワード管理では、技術的な対策を導入していても、従業員の日常的な行動によってリスクが生じることがあります。よくある失敗を把握し、禁止事項だけでなく実行しやすい代替手段も示すことが大切です。

関連ページ: パスワードの使い回しが危険な理由|リスト型攻撃の仕組みと【高強度・安全なパスワード自動生成セキュリティ】

付箋やメモへの記載

パスワードを忘れないように、付箋や紙のメモに書いてパソコンの近くに置く行為は、第三者に見られるリスクがあります。

また、デスクトップ上のテキストファイルや、保護されていない表計算ファイルに保存することも避けるべきです。

改善策として、会社が承認したパスワードマネージャーを利用し、アクセス権限や共有方法を適切に設定します。

パスワードの無断共有

同僚から業務上の理由でパスワードを尋ねられても、個人アカウントの認証情報をそのまま教えてはいけません。

誰が操作したのかを特定できなくなり、不正操作や情報漏えいが発生した際の原因調査も難しくなります。

複数人で同じ業務を行う場合は、個人アカウントへの適切な権限付与や、会社が承認した共有アカウントの仕組みを利用してください。共有が必要な場合も、利用者や管理担当者を明確にし、アクセス履歴を確認できる状態にします。

初期パスワードを変更せずに使い続ける

初期パスワードが共通の文字列や推測しやすい内容になっている場合、そのまま利用すると不正アクセスにつながるおそれがあります。

アカウント発行時に安全な初期パスワードを設定し、初回ログイン後に本人が変更する運用を取り入れましょう。初期パスワードを通知する方法についても、第三者に知られないように配慮する必要があります。

フィッシングメールへの入力

正規の社内システムやクラウドサービスを装ったメールから偽サイトに誘導され、パスワードを入力してしまうケースにも注意が必要です。

メール内のリンクをすぐに开かず、送信元やリンク先を確認する習慣を従業員に周知します。不審なログイン通知や認証要求が届いた場合も、内容を確認せずに承認しないよう教育しましょう。

アクセスログを確認していない

パスワード管理のルールを作っても、不審なログインや権限の異常に気付けなければ、問題への対応が遅れる可能性があります。

IT管理者は、利用可能なログイン履歴やアクセスログを確認し、次のような状況がないかチェックします。

  • 通常とは異なる場所や端末からのログイン
  • 短時間に繰り返されるログイン失敗
  • 利用していない時間帯のアクセス
  • 退職者や不要なアカウントからのアクセス
  • 通常の業務では必要のない権限の利用

ログの取得範囲や確認方法はシステムによって異なります。すべての異常が不正アクセスを意味するわけではありませんが、確認が必要な兆候として扱い、調査できる体制を整えておきましょう。

パスワード漏えいが疑われる場合の対応手順

パスワード漏えいや不正ログインが疑われる場合は、原因を特定するまで放置せず、被害の拡大を防ぐことを優先します。従業員が気付いた段階でIT管理者に報告できるルールを設け、初動対応の流れを共有しておきましょう。

1. 不審な状況を確認して管理者に報告する

身に覚えのないログイン通知、パスワード変更通知、不審なメール送信などに気付いた場合は、速やかに社内のIT管理者やセキュリティ担当者へ連絡します。

報告時には、次の情報を整理すると調査に役立ちます。

  • 対象となるアカウントや利用サービス
  • 不審な通知を受け取った日時
  • 気付いた操作や画面の内容
  • 不審なリンクを開いたか、情報を入力したか
  • 使用していた端末やネットワークの状況

不審なメールや通知は、調査に必要となる可能性があるため、社内ルールに従って保存・報告してください。

2. 必要に応じてアカウントを停止する

不正ログインが継続している可能性がある場合、IT管理者は対象アカウントを一時停止したり、セッションを無効化したりして、追加のアクセスを防ぎます。

特定のアカウントだけでなく、同じ認証情報を利用している別のサービスにも影響が及んでいないか確認することが重要です。

業務への影響を考慮しながら、対象範囲と停止の優先順位を判断しましょう。

3. 安全な環境からパスワードを変更する

漏えいが疑われるパスワードは、再利用せず、新しいランダムな文字列に変更します。

変更作業は、端末の安全性や不審な操作の有無を確認したうえで行います。侵害された可能性のある端末からそのまま新しいパスワードを入力すると、再び情報を取得されるおそれがあるためです。

同じパスワードを使い回していた場合は、関連するすべてのアカウントについて個別に変更してください。

4. 多要素認証とログイン履歴を確認する

パスワードを変更した後は、多要素認証が有効になっているか、登録済みの認証方法に不審な変更がないか確認します。

また、ログイン履歴やアクセスログを調査し、次の点を確認します。

  • 不審なログインの日時と接続元
  • ログイン後に実行された操作
  • 閲覧やダウンロードされた可能性のある情報
  • 追加された端末や認証方法
  • ほかのアカウントへの不審なアクセス

必要に応じて、登録済みのセッションや認証情報を無効化し、関連するアカウントも調査します。

5. 原因を調査し、再発防止策を実施する

初動対応が終わったら、漏えいの原因や影響範囲を調べます。フィッシング、端末の紛失、パスワードの使い回し、無断共有など、原因に応じて改善策を決めましょう。

調査結果と対応内容を記録し、必要に応じてアクセス権限やパスワードポリシーを見直します。情報漏えいの可能性がある場合は、社内のインシデント対応手順に従い、関係部署や適切な担当者へ連絡してください。

社内ネットワークのパスワード管理を見直すためのまとめ

社内ネットワークのセキュリティを高めるには、強固なパスワードを設定するだけでは不十分です。アカウントの発行から権限変更、退職時の停止までを一貫して管理し、従業員が安全な方法で認証情報を扱える環境を整える必要があります。

特に重要なのは、次の5点です。

  • パスワードポリシーを策定し、社内で統一する
  • サービスごとに異なるパスワードを使用する
  • 承認されたパスワードマネージャーを活用する
  • 多要素認証と適切なアクセス制御を組み合わせる
  • アカウントやアクセスログを継続的に確認する

まずは、現在利用している社内アカウントを洗い出し、不要なアカウントや過剰なアクセス権限が残っていないか確認することから始めましょう。そのうえで、パスワード管理ルールと従業員向けの運用手順を整備すると、継続的なセキュリティ改善につながります。

Sources

よくある質問

社内ネットワークのパスワード管理で最初に行うべき対策は何ですか?

社内アカウントを洗い出し、パスワードの使い回しや不要なアカウント、過剰なアクセス権限がないか確認することから始めましょう。

従業員ごとに個別のアカウントを発行する必要がありますか?

原則として個人ごとのアカウントを発行することが望ましいです。誰がログインして操作したのかを把握しやすくなり、アクセス管理や原因調査にも役立ちます。

社員が退職した場合、パスワードを変更するだけで十分ですか?

十分ではありません。退職者本人のアカウントを停止し、VPNや業務システムなどのアクセス権限も解除してください。共有アカウントの認証情報も必要に応じて変更します。

部署異動の際にもアカウントを見直す必要がありますか?

必要です。新しい担当業務に必要な権限を付与するとともに、以前の業務で使用していた不要な権限を削除しましょう。

社内のパスワードを付箋に書いて保管してもよいですか?

第三者に見られる可能性があるため推奨できません。会社が承認したパスワードマネージャーなど、安全に保管できる方法を利用してください。

社内の共有アカウントは使用しても問題ありませんか?

個人アカウントでの管理を基本とし、共有が必要な場合は用途や利用者を限定してください。認証情報の管理担当者とアクセス履歴の確認方法も明確にしましょう。

パスワードマネージャーは企業でも利用できますか?

利用できます。企業向けの管理機能やアクセス制御、共有機能、管理者によるアカウント管理などを確認し、会社のセキュリティ方針に合う製品を選びましょう。

パスワードが漏えいした疑いがある場合は何をすべきですか?

まずIT管理者へ報告し、必要に応じて対象アカウントやセッションを停止します。その後、安全な環境からパスワードを変更し、ログイン履歴や関連アカウントを調査してください。

執筆者について

山本 由紀 — セキュリティ編集者

パスワード生成ツールを管理し、パスワード安全性のガイドを最新の推奨事項に沿って確認しています。

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